ホークスVSスワローズの対決となった2015年のプロ野球日本シリーズは、シーズン中からの勢いそのままに、ホークスが強さを発揮し日本一になりました。
シリーズ1・2戦が開催されたホークスの本拠地・福岡ヤフオク!ドーム。その最寄駅といえば地下鉄唐人町駅ですが、実は唐人町はスワローズにもゆかりのある場所だったのです。
その証拠に、駅から徒歩5分ほどの場所に何やら見覚えのあるフォルムが…。
それは、ヤクルト容器の形をした黒い石碑。アルミキャップの部分が赤い帽子のようで可愛らしい佇まいです。土台の部分には「ヤクルト事業創業の地」と記されています。今や世界中で愛されているヤクルトは、ここからスタートしたのだそうです。
医学博士の代田稔氏が1930年、京都帝国大学医学部微生物学教室でヤクルト菌(ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株)を発見。1935年、この地に「代田保護菌研究所」が設立され、ヤクルトの製造・販売が始まったのです。
当時の日本はまだ貧しく、衛生状態も悪かったため、感染症で命を落とす子どもたちが数多くいました。その状況に胸を痛めていた代田博士は病気を未然に防ぐ「予防医学」を志し、微生物研究に力を入れたのだそうです。そして、乳酸菌が腸の中の悪い菌を抑えることを発見。中でも強い株を培養して生まれたのがヤクルト菌なのです。賛同者だった初代社長の永松昇氏とともに事業化し、貧しい人でも健康を手に入れられるように、という想いから、「ハガキ1枚、煙草1本の値段で買えるヤクルト」が生まれました。石碑には『健腸長寿』の文字が刻まれていますが、これは「腸を丈夫にすることが、健康で長生きにつながる」という代田博士の理念だったそうです。
ちなみに代田博士は長野県の出身で、なぜ福岡で創業したのかは正式な記録が残っていないようです。一説によると、このあたりに住む人が永松氏に誘われてヤクルト創業に関わっていたことから、この場所が創業の地となった、という話も。
子どもの頃から慣れ親しんだヤクルトの発祥の地が、実は地元・福岡だったとは驚きです。昨年の日本シリーズは、何かの縁だったのかもしれませんね。ちょっとこじつけっぽいですが。
石碑は唐人町西交差点からホークスとうじん通りを川沿いに200メートルほど進むと、右手にぽつんと立っています。ドームまでの道すがら、探してみてはいかがでしょう?