近年空き家の増加に伴い敷金礼金なしという物件が増えています。少しでもお得感をアピールして入居者を増やしたいという流れから増加した敷金礼金なし物件。初期費用が安く済んでメリットばかりに思えますが実際のところはどうなのでしょうか。ここでは敷金礼金なし物件とはどんなものか、またデメリットはあるのかなどについて詳しくご紹介します。

しっかり把握しよう!敷金と礼金の違い
賃貸物件に入居するときに必要な「敷金・礼金」。ただ何となく入居時に支払うものと認識されていますが、正確には敷金・礼金とはどんなお金なのでしょう。
敷金とは簡単に言えば保証金。入居時に大家さんに預けておく預け金のようなもので、何らかの原因で家賃が回収できないときや退去時に修繕が必要な場合などに充てられます。ですから退去時に清算し、残金があれば戻ってくることもあります。
そして礼金とは読んで字のごとくお礼としてのお金のこと。戦後間もない住宅難の時代に、部屋を貸してくれた大家さんに感謝の気持ちとして謝礼金を包んだことが始まりだとか。住む所に困らない現代になっても続いている慣習が礼金です。謝礼ですので当然返金はありません。
敷金と礼金、この2つのお金の違いはしっかり頭に入れておきましょう。
敷金礼金なし物件のメリット・デメリット

敷金礼金なし物件のメリットは『入居費用がぐんと安く抑えられること』。これに尽きます。
部屋を決めて引っ越しが完了するまで何かと出費がかさみますが、そんなときに入居費用が安く抑えられるのはとっても嬉しいこと。そんな魅力的な話にデメリットなんてあるの?と思ってしまいますが、礼金はともかく敷金なしについてはよく考えてみる必要がありそうです。
まずは退去時に敷金の中からまかなうはずの修繕費用やクリーニング代を請求されること。ただでさえ引っ越しで入り用なときに思わぬ大きな金額を支払うことになりかねません。
さらに、敷金礼金なしの物件は家賃が高めに設定されている場合があること。その場合、長く居住するほど損をすることになってしまいます。
敷金なし物件に入居するときの注意点

引っ越しの際に安く済むのはありがたくても結局敷金は必要なお金です。敷金礼金なしの物件を借りるならいくつかの点の注意しましょう。
まず敷金をなくしてまで入居者を入れたい部屋である可能性です。家賃を下げただけではなかなか借り手がつかず敷金礼金なしに踏み切る場合も多々あります。理由は駅から遠い、近所に迷惑な住人がいる、環境が悪いなど。たとえば普段は車で移動している人が駅から遠い物件に住むなど自分にとってマイナス要素にならない理由なら良いですが、入居を決める前によく条件を確認した方が無難です。
さらに敷金礼金という名目以外のお金の支払いがあるかもしれません。たとえば「退去負担金」や「カギ交換代金」「メンテナンス費用」などと契約書に小さく記載されている場合、入居時か退去時に大きな金額を請求されることも。入居、退去時にかかる費用は仲介業者や大家さんにきちんと確認しておきましょう。
ただし、何の問題もない人気物件が敷金礼金なしで入居者を募集していることもあります。お部屋を探している人が少ない時期に空室が出てしまうと、いくら人気物件であったとしても数ヵ月にわたって空室が続いてしまうというは、賃貸市場ではよくあることです。そんな場合には、敷金礼金を無くしてでも早く入居して欲しい、という心理が働くのです。
敷金礼金なしの賃貸物件は少しずつ増えています。通常であれば入居時の初期費用は家賃6か月分程度かかるなか、敷金礼金をなしにしなくてはならない理由や、名目を変えたお金の回収方法があることも多いのです。敷金礼金なし物件を選ぶ際は注意点をよく確認し、後悔することのないように慎重に選びたいものですね。