※【最新情報】2025年2月22日
賃貸物件を借りる際の敷金とは何か知っていますか?礼金と一緒の意味?原状回復に使う費用?敷金とは何かをまずはしっかり理解し、賃貸物件の契約をしましょう。
敷金って?
敷金とは不動産の賃貸契約を新規で行う際に、不動産業者を通して契約者が支払う費用のひとつです。賃貸借契約上、債務を担保するため借主(賃借人)が貸主(賃貸人)に支払うお金のことです。簡単に言うと契約中に大家さんが入居者から預かるお金です。また、賃料の不払いや未払いに対する担保としての意味もあります。
2020年に民法改正によって敷金について明確化されました。
改正後の民法では、「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」と定義されました。
その上で、判例に従い、賃貸借契約が終了して賃借物が返還された時点で敷金返還債務が生じること、その額は受領した敷金の額からそれまでに生じた金銭債務の額を控除した残額であることなどルールが明確化されました。
では、敷金はどのような時に使われるのでしょうか?
敷金はどのような時に使われるの?
①賃料の不払いや未払いの補てん
②入居中の不注意、または故意で発生した汚損、毀損(傷や汚れ)などの退去時の修繕負担義務
大きくわけて2つになります。
通常の生活で起こる損耗や劣化に関しては、入居者の負担義務ではありませんが、「わざと」や「うっかり」傷をつけたことに対する修繕費用に対して使われます。
不動産業者が退去後に行う敷金精算は、国土交通省の「原状回復をめぐるガイドライン」に沿って行います。
【国土交通省のガイドライン】
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000021.html
ちなみに原状回復とは?
「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」
※国土交通省のHPより引用
法律用語が入ってくるとわかりにくいですよね。
簡単に言うと、入居期間中の「わざと」「うっかり」つけてしまった傷を復旧すること。です。
この原状回復をめぐる大家さんと入居者間でのトラブルなども多々あります。
敷金って返金されるのか?

前述にも記載しましたが、未払いや不払いがなく、故意や過失がない場合は敷金が返金になるケースが多いです。ただ、賃貸人や管理会社の中には最近の裁判の判例や原状回復のガイドラインを把握しておらず、返金に応じないケースも少なくはありません。そのような場合どうするか?という点も問題ですが、まずは契約段階で防げる部分を防ぎましょう。お部屋を探す際は、管理戸数が多い会社や賃貸仲介件数が多い会社、また創業してから年数の長い会社などを基準に選ぶのがオススメです。
入居中の自然損耗や経年劣化は大家負担です。
※自然損耗や経年劣化
簡単にいうと、普通に生活しているだけでつく傷や劣化することです。
【例】壁紙の変色は大家さん負担
窓際の壁紙に結露が…それを放置したことによるカビやシミなどは入居者負担
敷引ってなに?敷金と敷引の違いって何?
賃貸物件を探す際に、「敷引」と記載したものがあります。
敷引きとは、入居時に支払う敷金○ヶ月の内、○ヶ月分を無条件に差し引くというものです。
簡単に言うと、退去時のお部屋のクリーニング代などに使う金額をあらかじめ、大家さんと入居者間で敷引部分は返金しないという条件で契約を取り交わすことです。
関西地方や東海、九州エリアなどで残っている習慣です。
敷引のトラブルや判例などあり、敷引表記を礼金表記へ変更している不動産管理会社も増えてきています。
敷金と保証金と礼金の違いとは
敷金と礼金、保証金と賃貸契約にはさまざまな用語があります。
特にこの3つはわからないまま契約してしまう人もいると思います。
以下で詳しく説明いたします。
・敷金
敷金とは上記でも説明したとおり、担保としての意味があり退去時に故意・過失がなければ返金されるものです。
・礼金
礼金というのは敷金とは違い、入居時に大家さんに支払い退去時も返金がないお金です。
※礼金については『礼金の意味や語源の解説と礼金ゼロ物件契約時の注意点』に記載しています。
・保証金
主に関西地方などに多いようですが、意味合いとして敷金と同じです。ただ、敷金に比べ6~8ヶ月分と入居者の負担額が多くなる傾向にあります。
最近では、保証金表記は敷引同様に礼金表記へ変更している不動産会社が増えています。
賃貸物件を探す際に、「敷引」「保証金」などをみかけたら、担当営業マンに内容を聞いてみることをオススメします。
簡単に言うと、
敷金⇒大家が入居者から預かるお金
礼金⇒入居者が大家に支払い、退去時にも戻ってこないお金
保証金⇒敷金と同様の意味だが、金額が高い・戻ってくる・戻ってこない、など地方での特色がある
上記3つは支払うタイミングは契約時です。
賃貸物件を探す人しか見る機会がない言葉ですが、意味をしっかり覚えてお部屋探しをしましょう。
敷金のトラブル事例とその後
共働きの夫婦がアパートに3年ほどの居住年数を入居していた。契約時の敷金は142,000円。退去時にクリーニング代として122,320円を支払い、残金を返金すると伝えた。
クリーニング代の内訳としては、畳表替えやガスコンロの内部清掃やクロスの張替費用など。
共働き夫婦が通常通り3年ほどの使用だと、自然に生ずる損耗以上は認められない。ということで敷金の全額返金になった。
上記は過去の裁判の判例を簡単に記載したものです。
トラブルはおきてからだと解決に至るまでに時間がかかるものです。
是非入居前に防げるように、不動産会社選びを行ってください。
よく耳にする言葉「敷金」ですが、意外に知らない方も多いと思います。
またトラブルの事例も多く、トラブル後に時間を使い、良い印象の入居期間が一転して悪い印象に変わります。
トラブルになる前に何ができるか!?
お部屋を探す時に、事前にトラブルのリスクを減らしましょう。
管理戸数の多い不動産業者、創業後長く、不動産業界に携わっている業者、宅地建物取引士の資格を取得している営業マンの在籍数が多い会社を選ぶなど、借主側も知識が必要ですね。