他都市の地下街はどうなのだろう?

<天神地下街の入り口(地上部分) おしゃれなレンガ造りテイストです>
日本各地には多くの地下街があります。天神地下街に匹敵する規模の大きな地下街もあり、有名なところでは東京の新宿サブナードや八重洲地下街、横浜のダイヤモンド地下街、名古屋のサカエチカとユニモール、大阪のホワイティ梅田などが挙げられます。いずれも繁華街にあり多くの買い物客でにぎわう地下街であり、ブランドショップやセレクトショップ、そして喫茶店等が軒を連ねている点も天神地下街と同様です。
ただ、それぞれの地下街を歩いてみると、天神地下街だけに見られるある特徴に気付かされます。照明の明るさや石畳といった見た目の特徴以外の大きな差異とは・・・。
それは「飲食店街」の有無にあった
他都市の地下街は、どこも地下街の中に「飲食店街」を有しています。言い方を変えるなら、飲食関係の店舗はある一部のエリアに集中しており、地下街の中における区分が明確であるのです。
天神地下街も、隣接しているビルの地下には飲食店街がありますが、天神地下街そのものには飲食店はあれども飲食店街という概念がありません。
そしてもうひとつ、その飲食店の顔ぶれも喫茶店やベーカーリーショップ、パスタ専門店等女性向けの飲食店が中心であり、筆者のような中年のおじさんが入れる店としては唯一お蕎麦屋さんが2店舗ある程度です。
女性向けに特化したコンセプトを一貫して貫く姿勢
これだけショップの顔ぶれを一貫している地下街は他に類を見ません。他都市の地下街はどこも大きな飲食店エリアを構え、とんかつ、カレー、ラーメンをはじめ、居酒屋や焼鳥屋等まで幅広い業種の飲食店が入居しています。そちらの方が昼夜問わず集客力を高めることができ、賑わい感も演出することができるのです。しかし「19世紀のヨーロッパをイメージした」天神地下街は、そういった一貫したコンセプトの基に都市計画を行っているのでしょう。入居している飲食店も一つのエリアに固まることなく、地下街のあちこちに点在するという構成になっています。

そして得られた「回遊する」という動き
このように何かしらに特化した街づくりは非常に勇気のいるものです。商店街というものはできるだけ多くのお客様に来ていただき、できるだけ幅広い客層にアピールすることを命題としています。また、お客様の目的に素早く対応できるよう、ファッションエリアや飲食店エリアといったエリア分けを行っているものです。しかし、天神地下街はその真逆。女性特化と飲食店の分散を行うことで、他の地下街にはない独自のテイストを打ち出すことに成功しているのです。
また、エリア分けを行わないことにより地下街内における回遊性も高まりました。目的にエリアに一直線に向かい買い物を済ませて帰るのではなく、あちこちに分散したショップを”見て回る“楽しみを提供しているのです。

天神地下街は19世紀のヨーロッパの街並みを再現したと言われています。当時のヨーロッパを歩いたことが無いのでわかりませんが、きっと天神地下街のような「歩いて楽しい」街並みだったのでしょう。皆さんも今週末あたり天神地下街を歩き、街づくりの巧みさを実感してみてはいかがでしょうか。