ぞうさんの知恵袋

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賃貸物件に必要な火災保険、その仕組みと注意点を教えます

2024年08月10日

※【最新情報】8月10日

病気とケガには生命保険や医療保険、運転には自動車保険−−といったふうに私たちはさまざまな保険に身を守られています。賃貸住宅を利用するなら火災保険は外せない保険。ここでは、火災保険のあれこれを解説します。

火災保険の種類は家財保険、借家人賠償責任保険、個人賠償保険の三つ

賃貸住宅用の火災保険は(1)家財保険(2)借家人賠償責任保険(3)個人賠償保険−−の三つに分かれています。

(1)家財保険
→入居者の家財一式の補償

(2)借家人賠償責任保険
→物件の持ち主(大家さん)に対する補償

(3)個人賠償保険
→日常生活における他人への賠償事故に対する補償

ただし(2)(3)の保険はいずれも(1)の家財保険を主保険とする特約保険としてしか加入できません。つまり(2)(3)を単独で加入することはできないので注意が必要です。
それぞれの補償について詳しく解説していきます。

(1)家財保険

家財保険は、自分の部屋にある家財を保証するための保険で、賃貸住宅の火災保険に基本補償として付帯されていることが一般的です。家財とは部屋にある生活用の動産を指し、家具・家電のほか衣類や食器類なども含まれます。
補償の組み合わせを選択できるカスタマイズ型の保険の場合、保証される事故・災害については、自動付帯されている「火災、台風、大雪、落雷」などの自然災害のほか、盗難、水漏れなどで家財が被害を受けた場合に補償されます。

(2)借家人賠償責任保険

借家人賠償責任保険は、物件の持ち主(大家さん)に対する賠償責任に備えるための保険です。
物件の借り手には原状回復義務があるため、部屋を借りたときと同じ状態で退去する必要がありますが、火事などで大きな損害が発生すると、原状回復のために高額な費用が必要になります。その際に借家人賠償責任保険に加入していれば、火事などで部屋が損害を受けた場合に原状回復費用を保険金でカバーできるため、もしもの時でも原状回復のための費用負担を軽くできます。反対に、借家人賠償責任保険が付帯していない場合、損害の規模によっては1000万円位以上の賠償責任を負う可能性がございますので、火災保険を検討する際は、必ず確認しましょう。
借家人賠償責任保険は、物件の持ち主(大家さん)に対する補償のため、管理している会社によっては補償金額に指定を設けている会社もありますので、契約時に火災保険をご自身で契約される場合は、確認しておきましょう。

(3)個人賠償保険

個人賠償責任補償特約は、日常生活における賠償責任に備えるための補償です。
補償内容は借家人賠償責任保険と似ていますが、借家人賠償責任保険は物件の持ち主(大家さん)以外に対する賠償事故を補償しません。例えば、「入居中のマンションで洗濯機から漏水してしまい下の部屋の入居者から賠償請求をされた」などの日常生活における賠償事故に備えるためには個人賠償責任補償特約の付帯が必要です。個人賠償責任補償特約はこのような居住物件での事故のほか、「自転車の衝突事故」、「散歩中に飼い犬が他人に嚙みついた」などの幅広い事故を補償することができるため、付帯しておくことをおすすめします。

もらい火の補償は自分でしなくてはなりません!

日本には火災に関して「失火責任法」があります。これは、自分の過失で隣の家に延焼し被害が出ても損害賠償の責任は問われないという法律(ただし重大な過失の場合は除く)です。逆に言えば、隣の家から出た火事でもらい火をして被害が出ても損害賠償を請求できないことになります。ですから(1)の家財保険で自分の部屋の家具などを守る必要があります。
また、賃貸物件を借りた人には自室の現状復帰(元どおりにする)義務があります。自分が失火して自室に被害が出た場合は(2)の借家人賠償責任保険が、お隣に被害が出た場合は(3)の個人賠償保険がそれぞれの損害を補償してくれます。

火災保険に入ってないと、補償は自己負担です

「自分は火事なんか起こさないから保険は不要」とおっしゃる方もおられるかもしれません。確かに火災保険は法的な加入義務があるわけではありません。しかし、自分が起こさなくても、もらい火によって家財道具を失ってしまう恐れもあります。もし火災保険に未加入のまま火事を起こせば、多額の補償はすべて自己負担となります。火災保険は自分の財産を守るものです。多くの賃貸物件で火災保険加入を入居条件にしているのは、そういうわけなのです。

契約内容、個人賠償保険のダブりをチェックしましょう

入居の際に不動産業者などが提示した火災保険に、よく内容を確認しないまま加入するのはちょっと待ってください。家財の補償額をいくらにするかで保険料は変わります。例えば、単身で家財が少ない場合に500万円もの家財補償をかける必要はないでしょう。火災保険を自分の財産に合ったものにすることで、保険料を安く抑えることもできますよ。ネットなどで簡単にシミュレーションできるサイトもあるので、比較検討して決めるのがおすすめです。

もう1点注意が必要なのは、(3)の個人賠償保険です。すでに契約している自動車保険や傷害保険の契約時に特約として加入している可能性はありませんか? チェックして二重払いを防ぎましょう。

保険の更新を忘れると保険は失効してしまいます。更新時期の数カ月前に保険会社から更新案内のハガキが届きます。また、保険料を滞納していても保険会社が定めた「払込猶予期間」内であれば大丈夫ですが、こちらも忘れないようにしてください。

火災保険と言いますが、その補償内容は火事だけではありません。プランによっては落雷、ガス爆発、台風や竜巻による風水害、漏水、盗難なども補償範囲に入ります。まさに住宅総合保険ですね。正しく選んで家と財産を守りましょう。