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うるさくて眠れない・・・!騒音被害の対処法教えます!

2024年07月13日

※【最新情報】2024年7月13日

マンションなどでしばしば起こる騒音問題。上階の足音がうるさいなど、毎日、しかも長時間となるとストレスも溜まり、生活に支障が出ることもあります。今日は騒音問題の現状と、被害にあった際の対処法をご紹介します。万が一の時の参考にしてくださいね。

騒音被害の取り締まりは難しい?騒音問題を取り巻く現状とは?

環境省が発表している「騒音規制法等施工状況調査の結果について」によると、令和4年度の騒音に係る苦情の件数は20,436件と前年度に比べ、736件増加していました。
発生源別にみると、建設作業が7,736件と最も多く、次いで工場・事業場が5,236件、営業が1,946件の順となっています。

騒音の問題点の一つに、入居してみるまで気が付かないということがあります。近所に繁華街や飛行場があるなどの地理的な問題であれば入居前に避けることもできますが、上階や両隣などからの生活音は入居してみないとわかりません。

また、現状日本の法律では、工場から発生する騒音や自動車のエンジン音などを規制する「騒音規制法」という法律しかなく、近隣の一般市民による生活音に対しては効力を持ちません。取り締まる法律がないのです。

日本では昔から木造住宅が主流のため、少しぐらいの生活音はゆずりあって暮らしていきましょう、という風潮があり、そのため法律が制定されてきませんでした。そして現代に至ってもなお、この現状が続いているというわけです。

しかし、取り締まる法律がないからといって毎日耐え難い騒音を我慢しなくてはならない、なんてことはありません。次の項目から、実際に騒音被害にあった時の対処法を見ていきましょう。

実際の生活騒音にはどんなものがあるの?

家庭生活の中での騒音とはどんな種類があるのでしょうか。まず、騒音としてよく問題になる楽器の音。特にピアノの音は、建物の骨組みが伝導体となり振動として伝わってくる音です。そのため窓を閉めても軽減することがありません。

そして足音もよく問題になります。小さな子どもが多いマンションでは、ある程度までは目をつぶれるものの「時間帯も関係なく夜中まで走り回る音に悩まされて不眠症になってしまった」などということも。

その他、子どもを叱る声、ペットや子供の鳴き声(泣き声)、洗濯機の運転音やエアコンの室外機までさまざまですが、どれが騒音なのかという問題ではなく、被害者が日常生活に支障をきたすレベルの音であることが騒音の争点になります。

また、通常の範囲や常識を越えた大騒ぎが多いなどの住民による騒音から、隣の生活音がすべて丸聞こえになるほど壁が薄いなど構造的な欠陥まで、騒音問題にはさまざまなものがあります。

構造的な欠陥による騒音は消費者センターに相談するのが正解。問題は住民による騒音です。まず大切なことは、決して直接訪問したり電話で苦情を言ったりするなどして当事者同士で解決しようとしないこと。直接の苦情は思わぬトラブルになりかねません。

近隣住民による騒音は、まず管理会社に相談を

まず、騒音と定義される音の大きさですが、昼間の住宅街では55デシベル(以下DB)以下、夜間は45DB以下とされています。この基準を超えた騒音は、通常の生活に支障をきたすと考えられますが、もちろん感じ方には個人差があります。

住民による騒音に悩んだら、まずはマンションの管理会社に相談をしましょう。その際「どのような騒音なのか」「生活にどんな支障が出ているのか」をしっかり伝えるのがポイント。管理組合の総会などがある場合は、議題として挙げるのも方法の一つです。

それでも解決できない場合は、次の手段として弁護士に相談する方法もあります。実際に健康被害が出ていることや、解決に向けて行動した際の証拠を残しておき、法的手段をとることもあり得ます。

根拠としては、民法709条の「不法行為」。故意や過失による他人の権利の侵害にあたります。受忍限度(我慢の限界)を超える騒音被害が解決されない場合は、自治体の無料法律相談などの相談してみるといいでしょう。

さらに、騒音を解決するべく動いた過程で嫌がらせを受けたり、さらに大きな音を出して威嚇したりするなどの行為がある場合は警察に相談を。身の危険を感じたら迷わず通報しましょう。

騒音トラブルに関する過去の判例

住民による騒音トラブルの判例として注目されたのは、平成19年に起こった民事裁判です。原告は階下の老夫婦で、上階に住む男児の足音に昼夜を問わず悩まされ、夫婦ともに不眠症などの健康被害が出ました。

原告側は訴訟以前に管理組合、管理会社、警察に相談しています。また、騒音計での記録をもとに加害者への直接の申し入れを行ったにもかかわらず、誠実な対応がなされず、訴訟に踏み切ったという経緯になっています。

判決は、子どもの父親に30万円相当の慰謝料の支払いを命じ、さらに、今後騒音を出さないよう命じました。このような裁判に発展させる場合は、騒音計での記録や当該家庭に何度も改善を申し入れた事実、また警察への被害相談の記録、医師の診断書など客観的な証拠が不可欠です。

騒音問題で裁判にまで発展させるのは最終手段。ですが、どうしても他の方法でらちが明かず、健康が脅かされる事態になったときは、客観的証拠を集めておくことが重要になります。

いつ誰に降りかかってもおかしくない騒音問題は決して他人事ではありませんよね。正しい対処の仕方を知って、いざという時に慌てないようにすることが大切です。同時に、自分が加害者になる可能性があることを忘れず、マナーを守って生活していきたいですね。